渓魚と対等に戦うにはエサ釣りに限る。
プロローグ
初期の渓流釣り
勝山杉山川
天然ヤマメ・アマゴ
盛期の渓流釣り
高原川本流
尺イワナ他ヤマメ・アマゴ
盛夏・晩期の渓流釣り
王滝川源流
尺イワナ他
初期の渓流
2月、3月、渓の風は釣り人の身体を凍えさせ
渓の水は凍るほどに冷たい。
周りの景色は山水画の如く無彩色の世界である。
渓は死んだように静寂で
唯一耳にする音は水の流れる音
そして自分の足音である。
渓魚たちは緩やかな流れの奥底に身を置き
目の前に流れてきた獲物だけを捕食し
体力を維持し春の訪れを待つ。
盛期の渓流
4月、渓に遅い春がやってくる
山から下りてくる風は冷たいが
フキノトウが顔を出し、樹木には新芽が出る。
土筆が出て蕨が出てワサビの花が咲き
渓の春は一気にやってくる。
山の残雪が融け渓に流れ
雪代は雪に鎖された養分を運び
荒れ狂った流れとなって水生昆虫も流す。
渓魚たちは流れに押されながらも捕食し体力を付ける。
5月、6月、樹木の緑は日増しに輝き
小鳥たちは一斉に自分の存在をアピールし
獣たちも新しい住処を探して忙しく動き回る。
雪代が収まり水温が上昇する。
水生昆虫が増殖し、樹木には蝶や蛾の幼虫が溢れる。
渓魚たちの楽園は釣り師にとっても楽園となる。
いや、釣り師にとっての楽園は渓魚にとっては地獄である。
盛夏・晩期の渓流
一部の釣り人は清流に戻り
渓に多少の涼しさと静けさが戻る。
渇水の渓では渓魚たちは天敵から身を守るため
白泡の中やエゴの中に身を隠す
夕立で増水し濁りが入ると
この時ばかりと渓魚たちは狂ったように捕食する。
流れてくる生エサなら何でも口に入れる。
大型のイワナは時として小動物さえも食らう。
夏至が過ぎ陽が短くなってきたことを悟ると
渓魚たちの成熟は進み繁殖のための準備に入り
捕食活動は一層盛んになる。
いい加減そっとしてやりたいのだが
釣り師と渓魚の戦いは9月いっぱい続く。
釣った渓魚の腹を開き白子や卵を見ると
シーズン終焉意外の何か寂しさを感じる。
呟き
シーズン初めから晩期まで同じ釣りパターンで良いのだろうか。
人と同じように季節によって食べるものが異なるだろうか。
季節によって棲家は変わるのだろうか。
・・・・・・・・・・?
戦いを挑む相手は自然である。
天然の渓魚である。
自然を理解し、渓魚の生態を知る。
それこそが渓流釣り上達の一歩である。
タックルに凝る前に自然を学べ。
常に疑問を持ち、試し、繰り返し、方程式を得る。
それでも自然が相手である。
当りが無い。釣れない。何故だろう?
それの繰り返しだ。
だから、面白いのだ。
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